大阪と神戸で開業して、特に神戸では小児専門の歯科として、日々多くのお子さんをみられている河崎真也先生と歯科衛生士の武井まどかさん。ふだん患者さん、親御さんとどんなお話をしているのか、子どものタイミングでの矯正治療ならではのやり取りなど、たっぷりとお聞かせいただきました。
武井さん
「どうなんでしょうか…。小学校は皆さん5クラスあると言われているので、多いほうなんだと思います。神戸の中でも御影という場所は、住宅地でもありますしね。」
武井さん
「10人来たら10人話しているかな…。見た感じきれいな歯ならびでも、例えば舌のわるい癖があったりして、完璧な状態という方はほとんどいないと思います。ついさっき来られた患者さんも、歯ならび自体はすごくきれいだけど、会話するときに舌が前に出る癖があったんです。お母さんに『今はめっちゃきれいやけど、将来歯ならびがわるくなる可能性ありますね』という話を今まさにしてきたところです。」
武井さん
「そうですね。歯科衛生士から矯正治療についての情報提供だったり、癖の話だったり。『舌の力とか唇の力が歯ならびに影響するんですよ』と言ったら、『そうなんや』と結構意外な反応をされます。それから、矯正の検査などをした後で先生をまじえてお話をするという形ですね。」
河崎先生
「まずは診断ありきですよね。その上で装置は患者さんに合わせていろいろと使います。床装置(※固定式であごを広げる装置)なども使いますし、装置一つとっても、これが良くてこれがダメというのは考えていません。診断があって、これとかこれだったら効果が出るかな、じゃあその中で一番良いものは何かなと考えていく、というところは大きいかなと思いますね」
武井さん
「決定的な違いは、子ども自身の力を使えるというところ。これから発達していくので、成長の力と、今から鍛えて自分の力で矯正していくことができるというところですね。どうしても大人だと成長しきってしまっているので、抜歯しないといけないであったりとか、器具の力を借りないといけなかったりします。それが子どもだったら、あごを広げてあげるだけである程度改善したり、その時のその成長度合いによっていろんなことをしてあげることができます。
大人であれば、これしかできないよね、という治療方法一択になったり。子どもだったら、それこそプレオルソで治療を始めて、ある程度舌癖などを改善する間に歯も結構きれいに並んでくるじゃないですか。それで次のステップにいくときも、『あなたこれしかないですよ』ではなくって、『これとこれと、あとこういう方法がありますよ』という感じでいろいろな選択肢を示してあげることができる、というところが決定的な違いだと思います。そのときの成長に合わせて、いろんなことをしてあげられるんです」
河崎先生
「いくつか装置を使っていますが、プレオルソがまず一番目の選択肢としてあがってきますね。例えば6番目の奥歯が生えてきている途中だしな、とか下の前歯もまだ生えてきてないしな、といったときに使ったり。あとは少し大変な装置を使う前に慣らしというか、3ヶ月くらいプレオルソを使ってみてから次のステップに、といったこともあります。矯正治療の前段階というような意味合いで使っていて、結果としてそれである程度改善したら、それはそれで患者さんにとっても良いことだし。もっときれいに、というなら次の装置に進む。いきなり大きい装置を入れる前に、矯正をするという意識を持ってもらうということにもつながっていますね。実際にプレオルソを使った患者さんは、もし次の装置に移ったとしてもちゃんと使ってくれやすい。もちろんプレオルソもプレオルソで、やっぱりちゃんと使えば改善するし結果も出てきますしね。」
武井さん
「小さい子だとたまに4歳からの子もいますが、だいたい5歳から7、8歳くらいの子にプレオルソを使うことが多いです。小さい子でも全然できる子はできますよね。本人のやる気と、親御さんのやる気と(笑)。
あと着けてもらうときには、着けてほしい時間を伝えて『基本的にはそうやりましょう』とは言いますが、それと合わせて、『もしできひんかったら、1回外してもらって、また次の日トライしてくださいね』って。『ちょっとずつ時間を長くしていきましょう』という話をしています。そうは言っても、比較的最初からできる子のほうが多いといえば多いんですけどね。」
武井さん
「どうなんでしょう…何かあるかな…つまずく子ももちろんいるけど、肌感としては1割もいないです。いつも話してることで、当たり前になっちゃってるからな…。
装置をお渡しするときに、使い方を含めて全部、本人と親御さんどちらにも説明をしています。子どもさんが4歳であっても一緒に説明は聞いてもらう。『これをすることで、ここがこういうふうにきれいになるから一緒にがんばろっか』みたいに声をかけて、本人にもわるいところを認識させるようにしています。本人にも着けないといけない理由を話すというところは、意識しているかもしれないです。子どもさんに話しながら、親御さんに伝えるというイメージでしょうか。」(後編に続く)