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小児歯科が伝えたい、子どもだからできる矯正治療(後編)
小児歯科が伝えたい、子どもだからできる矯正治療(後編)

将来の笑顔のために一緒にがんばりたい

もともとプレオルソを導入されたきっかけはあったのでしょうか?

河崎先生
「導入のきっかけ…もう覚えてないな(笑)。最初に大阪で導入して、それからだから…かなり前ですもんね。たぶんきっかけは、矯正治療をする中で、既存の装置を着ける前段階に使えるものはないか、というのが一番初めだと思います。1回どんなものかと思って使ってみたら、思いのほか成績もよかった、という感じでしょうか。少しずつ導入をしていって、実際に改善する、治療がうまくいくのがわかってくると、治療する側も次にプレオルソの話がしやすいし、それがスタッフみんなの自信にもなっている部分は大きいと思います。」

治療が始まってからは、どういった流れなのでしょうか?

武井さん
「基本的には月1回来院いただいています。どれくらい着けてるかや、装置の状態、口の中の状態を先生に確認してもらっています。」

河崎先生
「かみ合わせには特に注意してみていますね。歯ならびが変わると、かみ合わせも変わります。そこの変化がどうなっているのかとか、逆にかみ合わせが変わっていれば、口腔内に何かしら変化があったということなので。あとは前回来院時との違いですね。基本的に毎回写真は撮るんですが、写真などの記録で実際に『ここにすき間空いてきましたよね』とか『少し歯が重なっていたのが取れてますよね』とか。こうやって説明することで患者さんも安心するし、こちらも記録が残っていることで少しの違いにも気づけますしね。」

MFT(口腔筋機能療法 口周りの筋肉のバランスを整えるトレーニング)も取り入れられていると伺いました。

武井さん
「そうですね。プレオルソだけではなくて、MFT・トレーニングも必ず一緒にしています。MFTのことをいろいろと勉強して、院内で冊子にまとめています。併用することで、例えば自分で舌を動かす力をつけてもらうとかは、より効果が出やすいですね。ただ、舌の癖とか、口を閉じる練習とか、機能的な部分の改善というところだとプレオルソを使ったほうがやりやすいので、基本的にはセットで治療をしています。MFT自体は冊子に沿って進めるんですが、進める早さは患者さんによって変えていますね。1個だけに絞ることもあれば、何種類かを一度に教えるということもあります。」

河崎先生

河崎先生

患者さんからはどういった質問を受けることが多いですか?

武井さん
「治療期間はどれくらいかかりますか、と聞かれることはありますね。子どもさんにもよるので答え方が難しいのですが、永久歯がすべて生えるまで見るというのが基本的な形です。もちろんその間、矯正器具を使わない期間もあるけど、『第二大臼歯(前から7番目の歯、12歳臼歯とも呼ばれる)が生えてきて永久歯が生えそろうまで、きちんと見ていくというのが子どもの矯正治療です』というお伝えをしています。
あとはプレオルソを使い始めた患者さんで、最初の違和感について言われることもあります。どうしても鼻がつまっているっていうのは仕方がないので、そのときは外してもらって苦しくないときに入れてもらうとか。夜寝るときにどうしても鼻がつまるということなら、日中に着ける時間を少し長くしてもらうとか。『別の時間でちょっと長くしましょう』『苦しいときは外して、また少し楽になったらやりましょう』といった話をしていますね。あとは先生に装置を調整してもらって、入れることもあります。」

治療を終えられた患者さんからは、どういった声をいただくことが多いですか?

武井さん
「そうですね…『めっちゃきれいになったから、うれしいです』とか『すごく満足です』といったことは言っていただきます。特に親御さんから言われますよね。お子さんは年齢的にもそういう年ごろなのか、喜んでいる親御さんを見て『はぁ~、よかったね』といった感じで。大人になってから改めて良かったな、と思ってくれれば。」

そうですね。最後に、患者さんへのメッセージをお願いします。

河崎先生
「矯正はやっぱり時間がかかる治療になります。なるんだけれども、でもやったらやったで、特にプレオルソのような装置はしっかり効果が出ます。ちょっと時間はかかるけど、かかると言っても数年の話だから、そこでがんばってもらえたら状態も良くなるし、次の治療のステップへ行く場合にも行きやすくなる。やった子はしっかり成果が出てきます。そういう思いでやっていただけるといいな、と思います。」

武井さん
「矯正をするっていうのはプレオルソも含めて、保護者の方はすごい大変だと思うんですよ。患者さん本人が自分の意志で自分で入れるっていうのを、保護者の方が言ったりしないといけないし、そこでの保護者の方にとっては負担ってすごく大きいとは思うんですけど、それをきっちり毎日やると、すごく良くなる。良くなっていくので、ほんまに諦めずがんばってもらえたらいいなと思います。」

河崎先生

この記事を書いた人
河崎 真也先生/みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック(兵庫県)
武井 まどかさん/みかげ小児歯科・矯正歯科クリニック(兵庫県)
略歴:日本離乳食・小児食育学会 代表/みかげ小児歯科&矯正歯科クリニック チーフ歯科衛生士/歯科食育士エキスパート